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「つまりこういうことか」
佐々木が今までの話を整理してまとめる。
「お前はハロウィンの雑踏の中殺人を行った不逞な輩を目撃した。その下手人を追っていったところ、敵は3つに別れた道の内一つに逃げ込む。いよいよ追い詰めたと思ったお前は真ん中の道を進んでいくが、行きついた先は行き止まりだった。目撃証言からして、そいつがその道を全力疾走していったのは間違いないにも関わらず、だ。」
佐々木は皿に残っていたソーセージにフォークを突き立てる。
そのまま磯崎の方にソーセージの先を向けると
「犯人は煙のように消えてしまった」
「そういうことです」
「そういうことか」
佐々木は満足そうにソーセージをパクついた。
「なるほど。面白いな」
「勘弁してくださいよ、佐々木さん」
f県警G署内の食堂。
勤務を終えた若い警官達やこれから夜勤に就こうという老練の警部達がごったがえしている。
磯崎は既に食事を済ませ、今は先輩である佐々木の食べる様を存分に見せつけられていた。
彼は大学時代からの先輩で、たまたま同じ県警に所属することになった、言わば縁の深い人物である。
その優秀さからめきめきと警察内で出世を果たした佐々木は今や警部補になっていた。
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