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「「「…キャァァァァ!!!」」」
「"運命の人"!?」
「てか、いつの間に!如月様もいらっしゃる!!」
「王子って不思議ちゃんだったの!?…可愛い。」
悲鳴が教室に響き渡った。おおよそ男子校とは思えない悲鳴にはなれたものだ。
さっきまでまくしたてるように喋っていた親衛隊の子さえ呆気にとられている。
中でも言われた本人はオレンジブラウンの髪をさらりと揺らして首を傾げた。
「へ?俺?」
「もちろん。」
朔都はにこりと笑って手を離さないまま外部生に話しかけた。
「初めまして。俺は藤堂朔都。朔都って呼んでね。君の名前は?」
「え、二階堂 秋だけど…」
「そう。秋って呼んでもいいかな?」
「うん。」
「ありがとう。…それで、秋たちはどうして揉めてたのかな?」
そこまで言ってはじめて親衛隊の生徒に目を向ける。
それまで呆けていた親衛隊の生徒ははっと我に返ると不快感を滲ませる表情で訴えた。
「聞いてください!この外部生が類様と誠様に無礼を働いたんです!」
親衛隊の訴えを要約すると類と誠が2人で話していた所に外部生が親しげに話しかけた。そしてしばらく話した後そっくりな行動をとる双子に対して相手の真似をしなくていい。自分を大切にしろ的な言葉を言ったらしい。
「だって!!類も誠も無理して相手の行動に合わせてるように見えて…」
「それが!無礼だって言ってるんだ!」
「じゃあ見て見ぬ振りしろっていうのかよ!?」
「だいたいあのお2人がなんでそんな事するの!?」
「はいはい2人共落ち着いて。」
また言い合いはじめた2人の間に朔都が割り込む。
「今のでだいたいの言い分は分かったよ。でもそれは君たちが決める事じゃないよね?間宮兄弟が決めることだよ。」
朔都に諭されて2人共押し黙ってしまった。
「だからここでの言い合いは終わりにしよう。今回は無かったことにしておくからお互いに引き下がってくれないかな? それでいいですよね?如月先輩。」
くるりと向きを変えて問う。
「…ええ。構わないわ。」
管理委員長の許可を得て再び2人に向き合う。
「さて、どうする?」
生徒会会計と管理委員長が賛成しているからかどちらもすぐに頷いた。
「またね。秋。今度遊びにくるよ。」
そんな言葉を残して2人は去っていった。
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