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冬で真っ先に浮かぶのは、葉っぱが綺麗になくなった桜の枝に出来た蕾。小指の半分ほどの大きさしかない蕾が可愛らしく枝の上に不規則に並んでいる。
蕾を見ながら、町の人達は今か今かと開花を心待ちにするのだ。犬の散歩やウォーキングなどで桜並木の下を歩きながら、蕾の様子をつい確認してしまう。一つ二つ、蕾が開き始めれば一気に町が盛り上がる。祭りに備えて町が動き始めるんだ。
桜並木に沿って提灯がぶら下げられる。開花具合や歩道の様子を確認しつつ、ポスターが作られる。そして、屋台の設置場所が関係者に発表される。町の変化につい、町民達の気持ちも明るくなっていく。
関東平野部に位置するこの町では滅多に雪が降らない。二年に一度降ればいい方だ。だからこそたまに降った雪は印象的で、雪が数センチでも積もった日には大人も子供も大はしゃぎしてしまう。
そんな雪が積もった日には、桜の木が白い雪飾りを身につける。枝に乗っかった雪は翌朝、太陽の光に照らされてキラキラと輝くんだ。雪が積もるのは嫌いだけど、桜並木がお洒落になるのは嫌いじゃない。
今年は何度雪が降り積もっただろう。異例とされる今年は、滅多に雪の降らないこの町にも三回ほど雪が積もった。一番最近だと、三月に入ってからだろうか。
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