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吐き捨てたコウキの不機嫌さを他所に、くつくつ喉を震わせて笑うロビンは上機嫌だった。
監視の男をちらりと見やり、座っていた椅子から立ち上がるとテーブルの書類を手に取る。数枚捲り、無造作に1枚を抜き出した。
「わかるか?」
試すようにコウキへ示された写真。
鉄格子の間から伸ばされた手の先で揺れる写真に誘われて、コウキは数歩近づいた。
青い瞳が捉えたのは、死体と目覚めた大学の研究所の部屋だ。コウキのいた位置を示す白い枠A、近くに転がっていた死体の頭が2つでBとC、胴体も2つあってDとE、最後に切り離された腕のF。そこでコウキは違和感を感じて眉を顰めた。
間違っていないが、何かおかしい。
はっきりとわからない違和感が苛立ちを誘った。
「犠牲になった羊の数は?」
被害者の死体は現場で見ただけで検死に立ち会っていない。髪が栗毛に近いブラウンの白人だった。頭と胴体が2つずつ、数は2体と答えるのが普通だ。
だが…この男がそんな単純な質問をするだろうか。
落ちていた指は白人でなく混血だった。
3体? しかし……。
「3体、か?」
「……なんということだ」
疑問を滲ませたコウキの答えに、連続殺人犯は大げさに天を仰いで顔を手で覆った。
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