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犯人が受話器に触れたか判らないが、科学捜査の要である鑑識に叱られるのは御免蒙りたい。
警察官に比べ死体を見慣れているわけではないが、コウキはパニックを起こすこともなく冷めていた。
連続殺人犯ロビンの話相手を始める前から、感情がないといわれるほどに表情が乏しい。両親が殺されるまで、普通の子供だったコウキを知る人がいない為、もとからこういう冷たい人間だと思われているのも知っている。
だからといって、どうしようとも思わないが……。
コールした先で、仮の上司を呼び出して状況を淡々と説明した。
「鍵をかけて待つように」
部外者を入れて騒ぎを大きくするなと言外に命じられ、コウキは了承して受話器を下ろした。
振り返れば、まだ死体が2つ……ばらばらなので、パーツの数としては5つだ。頭が2つ、胴体が2つ、なぜか切り落とされた左手が1本。
部屋の鍵をかけて、ドアに寄りかかるようにして座り込む。
……?
床に落ちている指に気づいた。
親指だ、形からすると左手だろうか。咄嗟に転がる死体の手を確認する。すべての手に親指が揃っている。もちろんコウキの指でもなかった。
不思議と、犯人の指ではないと感じていた。
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