09.最後の質問

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「白人男性。もしかしたら1/4以下の混血である可能性も否定できない。自己顕示欲が強く、また意思が強い。死体を切った手口から、大柄な男性だろう」 「……ストップ」  さえぎったロビンの手が強く鉄格子を掴む。手に食い込むような錯覚を覚えて、コウキは数回瞬いて深呼吸した。彼が外に出てくるような気がして一瞬息を呑んでしまう。  目を細めて笑ったロビンの口元が三日月を描き、すぐに口元を左手で覆った。 「失礼…」  なぜか謝罪し、コウキに対して首を傾げた。 「なぜ犯人がわからない? そこまで理解していて、目の前にある答えを見過ごす理由がわからないな」  眉をひそめたコウキの不快そうな態度を気にせず、ロビンは鉄格子に絡めていた右手を離して踵を返した。こつこつと靴音を響かせて狭い部屋を一周して戻ってくる。 「最後の質問だ、死体を簡単に調達できるのは?」 「死体を? 調達できる…っ!」  調達――その単語に引っかかった。死体を作らずに調達する手段、職業、人物、立場……さまざまな状況が浮かんでは消える。脳裏を過ぎった情報にめまいがして、コウキは反射的に右手を顔に当てて俯いた。 「ロビン……犯人は…」  シィ…と唇に人差し指を押し当てたロビンは、続けられる筈だったコウキの言葉を遮る。楽しそうに目を細めて喉の奥を震わせるように、くつくつと笑った。     
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