03.秘されない情報

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 不審を滲ませるコウキの蒼い瞳に、嬉しそうに笑うロビンが映った。 「それでこそコウキ、オレが認めた唯一の『羊』だ」  椅子の左側に位置するローテーブルから拾い上げた書類を数枚捲ったロビンが、1枚を放って寄越した。  檻の鉄格子を擦り抜けた紙はコウキの靴先に当たって止まる。身をかがめて拾い上げれば、コウキの研究室の見取り図だった。 「2時間前に届けられた。コウキの上司だそうだが? 随分と酷い上司を持ったものだ」  くつくつ喉を震わせて笑うロビンが右手の人差し指で、コウキの手の中の書類を示す。  研究室の見取り図には机や椅子の配置、そして被害者の死体や落ちていた指と腕の位置も記載されていた。かなり詳細だが、それに加えてロビンは現場の写真を持っている。  ひらひらと揺らして見せた後、コウキへ放った。  どちらもコウキの上司であり、ロビンと引き合わせた彼が届けたものだろう。科学捜査がおざなりに見えたが、最低限必要な捜査は行っていたようだ。  資料を片手に、コウキは眉を顰めた。 「コウキが殺した、とオレが断定したらどうなるだろうな」     
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