05.預言者は語る

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05.預言者は語る

 3体……白人の胴体と頭を組み合わせれば2体、明らかに肌の色が違う混血の指で1体。それを告げれば、ロビンは大げさに天井を仰いで嘆いた。  シェイクスピアの劇役者のように。 「肌の色か? 目で見えるモノで判断するな、稀有なる羊。感じられるモノを優先しろ」  嘆かわしい。出来の悪い生徒に言い聞かせる教授に似た口調は、ひどく落胆していた。しかし彼が一方的にコウキに期待したとして、それを裏切られたと嘆く方が悪い。  開き直った態度でコウキは眉を顰め、椅子に大きく背を預けた。  座る位置がわずかずれたことで、顔に空調の冷たい空気が吹き付けられる。  ひとつ深呼吸して、再び姿勢を正して座りなおした。風に揺れた前髪を指で押さえる。 「白人が2人、混血が1人、普通の計算だろう」  ふむ……頷いたロビンが部屋の中を忙しなく歩き始めた。何かに苛立っているようにも見えるが、どちらかというと考え事を纏めている感じだ。  冷静に判断しながら、コウキは看守が出した紅茶に口をつけた。紙パックか? 残念だが香りが飛んでいるな。お湯の温度もやや低い。     
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