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一話 『株式会社 善意』
メイン通りから少し離れた人気のない雑居ビル。
そこに、一風変わった会社がある。
ーー株式会社 善意ーー
従業員数わずか数名にしてあらゆる事業を手掛ける、世に言うところの便利屋。
顧客満足度100%をモットーとし、店先には多くの依頼人が列を成す程の人気店であるが、最近になって良からぬ噂を耳にするようになった。
なんでも彼らのサービスを受けた者が次々に不幸に見合わせるという・・・
端的に言って非常に眉唾ものではあるが、ミステリー雑誌のライターを務める私にとっては行幸である。
なんせ、真実であろうがなかろうが飯の種になるなら儲けもの。
私は潜入捜査さながら依頼人を偽って店を訪ねると、一人の男に応接室へと通された。
「ようこそいらっしゃいました。本日はどのようなご用件ですか?」
「実は、人探しをお願いしたくて・・・」
私は手元に一枚の写真を用意して男に差し出そうとすると、男はそれを手で制して少しだけ口角を上げた。
「・・・芝居は結構ですよ。雑誌のライターさんですよね?」
・・・
おそらく、私の顔にはっきりと驚いた表情が浮かんでいたことだろう。
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