三話 『被殺害保険』

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三話 『被殺害保険』

「殺害・・・保険・・・ですか?」 「いいえ。正しくは、被・殺害保険です。 被殺害保険。 それは、10年添い続けた妻から初めて「子供ができた」との報告を受け、すぐさま『株式会社 善意』という数奇な保険会社へと足を運んだ私にとっては馴染みのない言葉だった。 「えーと。何ですか?それは?生命保険とは違うんですよね?」 「そうですね。違うことには違うんですが、全く違うということも無いですね」 私の質問に男は殊更もったいぶって答え、詳しく聞いて欲しいのかそのまま黙りこくる。 正直気味が悪いと感じた私はあえて質問をしないで話を続けるのを待ってみたが、男はいつまでたっても話を切り出さず、仕方なしに「それは、どういうものですか?」と尋ねて見ると、ようやく男は説明を再会した。 「最近の世の中をどう思いますか? 非常に物騒でしょう? 親が子を殺したり、子が親を殺したり、私怨ふくんだ復讐劇があるかと思えばあれば、逆に無差別に人を殺して回る通り魔だっています」 私が「はぁ」とか「そうですね」と適当に相づちを打つと、男は独り言をつぶやくかのようにただ淡々と話を続けた。     
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