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「しかし、世間はそんな様でも警察は民事不介入な上、動き出すのは実害が伴ってからです。 もし、仮に私が今から刃物を持ち出して、お客様に襲い掛かっても手の施しようがありません。 そのうえ・・・」
「あのー。被殺害保険ってのは、契約者が誰かに殺された時に保険金が支払われるということですか?」
長ったらしい前置きに呆れた私が横やりを入れて話の核心に迫ろうとすると、男は話を潰されたことなど気にする様子もなかった。
「仰る通りですね。お客様は頭の回転が速いようです。ただ、失礼ながら一点だけ訂正させていただくなら我々がお支払するのはお金では無いという部分ですね」
「え?・・・お金じゃないんですか?」
予想外の言葉に私の口からは勝手に疑問の声が漏れ、アッと思った時には男は既にまた長話を始めていた。
「ハンムラビ法典というものをご存知ですか? 古代メソポタミアに実在した法律の指針を示したもので、『目には目を歯には歯を』で有名な奴ですね」
「ええ。一応、知ってますけど・・・」
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