三話 『被殺害保険』

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「お客さん。あなたがしたことを私は別に責めません。真面目な父親になりたかったのは素晴らしいことです。例え、口封じのために愛人の女性を殺したとしても・・・」 営業マンは一枚の書面を男に付きつけ、「読んでみてください」と男の耳元で囁く。 私は営業マンに睨みを利かせながら書面の内容を確認すると、見る見るうちに血の気が引いていった。 「ただですね。彼女、被殺害保険とやらに加入していたみたいなんですよ・・・」 沈みゆく意識の中で私が最後に見たのものは、男の感情を感じさせない笑顔だった。
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