2 Dissonance

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「その曲は多分、ダウンロードできないよ。あの手の古い楽曲は登録されてない。私は路上演奏者が歌ってるのを聴いて真似したの」 「そうか」  エヴァは六宇を見たあと、なにかを考えるように沈黙した。そして、意を決したように言った。 「歌を覚えていたってことは、それ以外の記憶もサルベージできるかもしれないんじゃない?」 「ああ、でも……今の装置じゃな」 「最新の廉価版が出ているかもしれないよ」  六宇は補助人工知能のレンタル料金表を思い出す。アップグレードする資金を用意するには、さらに仕事の危険度を上げねばならない。 「思い出さないほうがいい記憶もあるけどね」  エヴァは六宇の横顔に向かってそう言うと、席を立ち、楽屋のほうへ消えた。
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