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防腐処理された死体が、滑るように落ちてきて、目の前のトレーに載せられた。
手を伸ばせばとどく位置にあるのは、全裸の男の死体だった。東洋系の青年の胸や腹は刺し傷だらけで、ペニスは睾丸ごと無造作に切り取られていた。薬の効果がなかったら嘔吐していただろう。
タッチパネルには「2」という数が表示されている。供給口を通過したときにスキャンされたマイクロチップの数だ。
ゴーグルが作動し、チップが入っている箇所が赤く光って見えた。右の太ももに吸引ホースの先端を当てがって、トリガーを引く。かすかな振動があり、皮膚ごとはがされたチップがチューブの中を通過したのがわかった。
タッチパネルの表示が「1」に変わる。
左手でレバーを動かす。トレーのキャタピラがぐおんという音をたてて回転し、死体が躍るように反転する。うつぶせになった死体の肩甲骨のあたりでチップが光っている。ノズルを当てがい、吸引する。臀部に集中している切り傷が痛々しかった。
二個の回収が完了し、赤いボタンが緑に変わる。押すと、トレーが向こう側に向かって傾斜し、供給口の下に現れた四角い開口部に死体がすべり落ちていった。ごとごとと、下層コンベアに乗って死体がどこかに流されていく。
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