06.相葉優花の記憶

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「あ、見ました! ええと、木曜ですよね、空いてます! っていうか連休全部空いてます!」 『そう、よかった。今日はどこか行ってたの?』 「ええと……」  今日は色々とあった。  学校帰りに優花に憑依され、優花の自宅へ行ったこと。そこで優花が野神沙耶香と親友だったことを知ったこと。野神沙耶香が二股をかけていたかもしれなかったこと。小嶋尊への疑いが強まったこと、周が尊を庇っているかもしれないこと。  それに、理恩が自分の命の恩人であったこと。  どれもこれも周には言えそうもなかった。 「クラスメイトとカラオケに」 『そうなんだ。今度俺とも行こうよ』 「もちろんです!」  5分程度の通話を終えると、どっと疲れが襲ってきた。言えないということはとても精神を消耗する。  早く事件を解決して平穏を取り戻したかった。 ***  翌日、いつも通りに昼休みのチャイムが鳴ると、梢は2年の教室へ周を迎えに行った。  これまでも好奇の視線を向けられることはあったが、今日はそれ以上であった。  その理由はすぐに周の言葉によってわかった。 「梢ちゃんと付き合ってること言ったんだ」  ああ、だから鋭い視線を感じたのだ。と梢は理解した。     
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