06.相葉優花の記憶

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 周に対して厳しく当たる母親。反対に優しそうな父親。リビングに飾られた小嶋尊名義の数々の表彰状とトロフィー。  浮かんだひとつの可能性を梢は首を振って掻き消した。  だって、周は尊のことを誰よりも尊敬しているはずだ。  それに、周だってこの学校へ上位の成績で合格するほどに優秀なのだから、劣等感を持つなんて――。 「わかった。梢ちゃんがそこまで言うなら、また兄ちゃんに会ってもらおうかな」  顔を上げた周はいつもの柔らかな笑顔を見せた。そのことに梢は自分の考えが杞憂であったと反省をした。 *** 「野神さんの交友関係か。それとなく当たってみよう」  放課後、いつもの面々が顔を付き合わせる部室で、大森が呟いた。  昨日得た情報を理恩から聞いた神楽坂がホワイトボードへ書き足していく。 「なんだか野神先輩のイメージが崩壊した」  そう言ったのは田中だった。  二股をかけていたかもしれないと聞いて、清楚で一途なイメージが崩れたのだろう。 「でも、野神先輩の友達も亡くなっていたなんて……何か関係が……」  ミステリー脳の佐野が腕を組んで推理を始めたところで理恩がそれをぶった切った。 「相葉優花の事故と、野神沙耶香の事件は直接は繋がっていないだろうけどな。ただ、全てを知っていたであろう相葉優花がこの世にいないのは痛い」     
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