06.相葉優花の記憶

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 偶然にしろ、真犯人にとって有利に事が運んでいるように思えて梢の肌は粟立った。 「俺はやっぱり小嶋尊だと思うけど」 「そうね、野神さんと言い争っていたことも考えると……一番怪しいわ」  大森と神楽坂は小嶋尊が犯人説を覆そうとはしなかった。 「僕は、その二股かけてた相手だと思うな。痴情のもつれってやつかも」 「おまえそれ鍵関係なくなってるし。でもその線も捨てられないか」  田中と佐野はもう1人の(エックス)なる人物を疑っているようだ。 「梢は? 昼に小嶋周と話したんだろ。何か事件に関係することは聞けたか?」 「特には。でもまた尊先輩と会わせてもらえることになった」 「そうか。次に会ったら実は野神沙耶香の友達の相葉優花と知り合いだったと言え」 「え……」 「相葉優花から野神沙耶香が二股をかけているという話を聞いていたと揺さぶってみろ」  その場にいる全員が息を飲んだ。 「それって危なくないか? 小嶋尊が犯人なら真相を知っているかもしれない小比類巻さんの口封じをすることだって考えられる」     
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