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「いえ、おばあちゃまに人様に借りは作るなと言われているので。気持ちだけ受け取っておきます。ありがとうございます!」
そう言ってレジに置かれたキャッシュトレイへ千円札を置いた。
「そう言われたら仕方ないな。おばあちゃんは厳しい人なんだ? イタコだっけ?」
支払いを済ませながら周が聞いてきた。
「そうですね。両親より厳しいです。でも優しいです」
「へえ……。イタコって霊の言葉を自分の身体を使って伝える人ってことしか知らないな。あと、恐山にいるイメージ」
「間違ってないですよ。でもおばあちゃまはそれだけじゃなくて、千里眼みたいな力も持ってるんです。なんでも言い当てられちゃうから隠し事出来ないんですよね」
「……なんでも?」
品川駅の改札を通り、蒲田へ向かう為のホームへ降りる。
「そう、なんでも」
「それはなんか怖いな。悪いことは出来ないね」
「そうなんですよ。嘘なんかつけないし」
「梢ちゃんに盗聴器でも仕掛けてたりして」
やはり周は超常現象を受け入れられない人なのかもしれない。だとしたら、梢が尊を霊視すると言ったことも本心では受け入れていない可能性が高い。
「……周先輩って非科学的なものを信じてないですよね」
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