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「えっと、じゃあとりあえずお茶で」
「了解。ソファにでも座ってて」
「はい。すみません」
キッチンへ行く周の背中を見送りながら、梢は前回は座れなかったソファへと腰をおろした。
見た目通りふかふかのソファに身を沈めながら梢は深呼吸をした。
緊張する。
これから尊との対話も勿論だが、急激に距離を縮めてきた周に乙女としてドギマギとする。
「はい」
「ありがとうございます」
ソファの前に設置されたローテーブルへアイスティーのグラスをふたつ置いて、周は梢のすぐ隣に腰を下ろした。
「なんで逃げようとするかな」
「だって近いです」
「ダメなの?」
小動物のような目で見つめれるとダメとは言えない。
「……あ、周先輩って中学の頃は付き合ってた人とかいたんですか?」
うっかり雰囲気に流されてしまいそうな気がして、梢は無理矢理話題を変えた。
「聞きたいの?」
「聞きたいような、聞きたくないような」
「じゃあ聞かなくてもいいんじゃない? 俺も梢ちゃんの元彼の話とか聞きたくないし」
梢の元彼など形だけのものばかりだったから大した話にはならないのだが。そういうものかと納得をした。
「あ、じゃあ卒アルとか見たいです!」
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