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「なんだ? 今ちょっと急いでるから手短に」
『何かあったの!? ええと、僕のクラスに多田さんって女子がいるんだけど、彼女から言われたんだ。小比類巻さんが小嶋くんに騙されてるんじゃないかって』
「え?」
『彼女、小嶋くんと同じ中学だったみたいなんだ。その頃の彼は今の温和な感じじゃなくて相当荒れてたって。女の子もとっかえひっかえしてたみたいで、いい噂は聞いてなかったって』
「……どうでもいいな」
『そう、ここまでは僕も過去はどうあれ今はそんなことないんだからって言ったんだけど……。彼女の口から野神沙耶香の名前が出たんだよ。一時期ふたりがゲーセンで一緒にいるところをよく見たって』
「何だって?」
野神沙耶香と小嶋尊が交際を始めたのは高校に入ってからだと聞いている。
その前に、弟の周と沙耶香が知り合っていた……?
「悪い、佐野先輩。部員集めて小嶋尊の家に行ってくれ! 小嶋尊が妙な行動を起こさないように見張っていて欲しい」
『え? 宝生くんがいるんじゃないの?』
「梢がいなくなった。多分、小嶋周と一緒だ。俺はこれからふたりを探すから、頼みます」
『わ、わかった! 見つけたら連絡して!』
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