02.ファーストミッション

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「特には。ああいうことはわりと日常茶飯事だし……って、そうだ! 聞こうと思ってたの。あの時私、何に取り憑かれたの?」 「なんだ、記憶がないのか?」  鼻で笑われたので梢は頬を膨らませた。 「悪かったわね。自分でも情けないとは思ってるわよ。本当なら私から交霊しないといけないのに……」 「……しないといけない?」  梢はしまったと口に手を当てた。  これまで自分がイタコの孫であることは誰にも言ったことがなかったし、他人に知られたくないと思っていたのに何故吐露してしまったのか。 「ずっと不思議に思ってたけど、少しばかり霊感があるからって、あんな部に入るようなやつじゃないよな。先輩たちみたいにオカルトが好きなわけでもなさそうだし。寧ろ苦手なんじゃないか?」  瓶底メガネ越しにじっと見られ、梢は観念したように口を開いた。 「苦手よ。怖いのも嫌いだし、本当は霊感なんてなければ良かったと思う。けど、おばあちゃま……祖母は私に期待してくれてるの。祖母は偉大なイタコなの。尊敬してるの。私にその素質があるっていうなら頑張って期待に応えたいのよ。だから、苦手でもなんでも修行のために心霊体験を積むべきだと思ってる」 「口寄せするどころか、乗っ取られてるじゃねえか」 「う、うるさいな! 人が気にしてることを……、今はそうでもそのうち……」     
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