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薄暗い廊下をひと通りカメラへ収めると、部室のある5階から、1階まで階段で降りていった。
「1階は職員室、視聴覚室、調理実習室、それと体育館しかないから地下まで降りよう」
大森に続いてゾロゾロと列をなしてさらに階段を降りていくと、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
地下には保護者会などを行う多目的ホールと、サブ体育館がある。
サブ体育館の壁一面には大きな鏡が貼られていて、普段はその上にカーテンがかかっている。
大森が少し重たい扉を押し開くと、地下特有のカビ臭い匂いがした。
「よし、行こう」
室内へ入ると、壁には普段通りカーテンが閉められていた。そこへ各々が手にした懐中電灯の光の円が映された。
「開けますよー!」
興奮気味に号令をかけた佐野の声が響く。
次いで勢いよくシャー、と音を立ててカーテンが開かれていった。
鏡に映った光で自分たちの姿がよく見えないが、噂にあるような怪奇現象は起きていないようだった。
「……特に変わったことは映ってないわね……。宝生くん、一応写真撮ってくれる?」
神楽坂にカメラを託されていた理恩が「はいはい」と面倒臭そうに何度かシャッターを押した。
「わ! これオーブじゃない!?」
デジタルカメラの画面を部員全員で囲むようにして確認していると、神楽坂が感嘆の声を上げた。
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