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「な、なに!?」
「何かでた!?」
梢が震える指先を差したその先へ、この場にいる全員が視線を動かした。
「ひ、光ってる!」
確かに、暗闇の中で2つの目が緑色に光っている。
「ホントだ! でも緑? 噂では赤く光ると言われていたけど……」
近づこうとしない梢の代わりに田中がゆっくりと足を部屋の奥へと進めていく。
「た、田中先輩! 正気ですか!」
「だって確かめなきゃ」
語尾に音符マークがついていそうなテンションでそう言った田中の後を、梢以外の部員が着いていく。
「ま、待って、置いてかないで!」
最後尾についた理恩の口角が上がった。
「しっかりしてくださいよ、相棒」
「…………!」
馬鹿にされたことがやけに悔しくて、梢は震える手を扉から離した。
「なによ……肖像画の目が光るくらい……」
ブツブツと独り言を言いながら一歩足を前へ踏み出したところで「わ!」という声がして、再び梢は全身を硬直させた。
見ると、部屋の上の方にあった緑色に光った目が床から数センチの場所にあり、更に移動している。
各々が動く目を懐中電灯の光で追うが、最終的に理恩の足元に光が集結した。
「……猫?」
理恩の足元に顔を擦り寄せていたのは、あの黒猫だった。
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