03.生霊

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「みゃおん?」  愛らしく鳴き声を出す黒猫に、理恩以外の全員が、一気に表情を緩めた。 「なんだよ、猫かよ……」 「なかなか七不思議に出会えないな」 「残るは増える階段だけか。今の時期プールには入れないし」 「でも今回はオーブが撮れたし、今までよりも格段に内容の濃い部誌が作れるわ!」  黒猫は依然として理恩から離れない。  多分、中身はまた優花とかいう霊体なのだろう。 「ねえ、なんでその子いっつも宝生くんの傍に現れるの?」  他の部員たちが音楽室から出ていくと、梢は小声で理恩に問いかけた。 「懐かれてるって言ったろ」 「宝生くんは除霊が出来るのよね。成仏させてあげることも出来るんでしょ?」 「まあな」 「じゃあ早くしてあげたら? いつまでもこの世にいさせる意味がわからないんだけど」 「俺もそうしたいんだけどな」  理恩がそう言うと、黒猫は彼の後ろへと隠れた。 「……成仏したくないの?」  梢の言葉に黒猫は「ミャー」と鳴いた。  その瞬間、いつもの感覚が梢の身体を襲った。 「え……待って……」  頭を抱え始めた梢に理恩が「おい」と声をかけた時、一瞬ぐらりと梢の身体が揺れた。     
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