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「土曜にこの学校でバスケの練習試合があるんだ。よかったら見に来てよ」
柔らかな周の笑顔に、梢は頷いていた。
***
「あ、いた! 室生くん!」
あと5分で昼休みが終わるという頃、梢は1年2組の教室に来ていた。理恩のクラスだ。ちなみに梢は5組だ。
梢が現れたことで、周囲がざわめいた。
だが、梢は別段気にすることも無く、ズカズカと教室内へ入っていった。
理恩は窓際の一番前の席で机に突っ伏して寝ていた。
「室生くん!」
「……なんだ、梢か」
理恩が絶世の美少女である梢を呼び捨てにしたことで、さらに周囲はざわついた。
「ちょっと話したいことがあるの。今日は部活休みだから帰り少し付き合ってくれない?」
部活の活動日は部長の大森が決めている。
ここへ来る前に部室に貼られた活動予定表を確認したら今日は休みと書いてあった。
「話したいこと? なんか進展でもあった?」
「進展というか、考え方を少し変えたいというか……あ、時間だから戻る。じゃあ帰りに下駄箱で待っててよ?」
昼休みが終わることを知らせるチャイムと共に梢は教室から足早に出ていった。
「…………」
放課後。約束通り下駄箱で梢が待っているとあの黒猫が校舎の外で待ち構えるようにしているのが視界に入った。
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