03.生霊

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「全くの赤の他人かも。通り魔的な」 「学校でか? それに事件があった日は休校だった。誰もいないかもしれない場所に赤の他人が屋上まで野神沙耶香を連れていって落としたって?」  そう言われると現実味がないのかもしれない。  通り魔ではないとすると―― 「そ、そうよ! 先生とか!」 「先生?」  梢は半ば思いつきで言ったのだが、理恩は口を閉じて考え始めた。もしやいい線をいっているのかもしれないと梢は続けた。 「先生なら何かしらの用事を作って彼女を学校に呼び出せたかもしれないでしょ」 「先生ね……そういや」  先日の学校七不思議ツアーの時に突如として現れた生霊らしきものが理恩の脳裏に浮かんだ。 「スーツ姿か。……あの時あいつは一体何を探してたんだ……?」 「なんの話し?」  梢が首を傾げると理恩は「言ったろ。1年1組の教室に生霊らしいのがいたって」と答えた。 「ああ! リーマンのオッサン!」 「先生と言われてみればそう見えないこともないな」 「じゃあその本体探そうよ! 顔見たんでしょ?」 「見たことない顔だったけど……。うちの学校、非常勤講師も含めるとかなり人数いるからな。見たことない先生もいることは確かだ」 「よし、その線で調べよう!」     
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