03.生霊

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「可能性として加えるだけだ。小嶋尊を外すとは言ってない」  それでも、他の可能性が増えるということは梢にとって喜ぶべきことだった。  だが、翌日、先日配られた学校誌に載せられた職員紹介から全職員を調べた結果、該当する人物は見当たらなかった。 「何してるの?」  学校誌を穴が悪ほどに見ている理恩へ部室にやってきた神楽坂が声をかけてきた。  今日は1年生だけが5時限目までで、2年生と3年生は6時限目までだったので、1時間ほどこの部室には梢と理恩のふたりしかいなかったのだが、神楽坂を筆頭に続々と部員がやって来た。 「あ、こんにちは。あの、去年とかそれ以前の職員の紹介が載ってる学校誌ってありますか?」  梢が言うと神楽坂は「図書室に全部揃ってるわよ」と答えた。  それから、先日の七不思議についての記事を粗方まとめ終わると、1年1組に現れた生霊らしきものの話を部員全員に話す運びとなった。 「え! だからあの時俺たちを先に帰したのか」  残念そうにして親指を噛んだのは大森だ。 「ちょっとヤバい感じだったんで」 「そっか……。でも生霊って生きてる人間に取り憑く疫病神みたいなもんだろ? なんで誰もいない教室にいたんだ?」  確かにその通りだ。     
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