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それに関しては理恩も梢も見当がつかない。
「何かを探してるみたいだった。それが何かはわからなかったけど、生霊は返しても何度も飛ばしてくる可能性があるからな。一応、本体が誰なのか知りたい」
「でも、サラリーマン風だったのよね……。一体誰を……あ! だから教員を?」
理恩の言葉に神楽坂がポンと手を叩いたので、理恩は頷いた。
「今年度の学校誌にはいなかった。と、なれば」
「私がこの学校に入学してから離職したのは……。そうだ、野神先生!」
“野神”という名前に全員が反応をした。
「野神って……もしかして野神沙耶香の父親?」
梢は半信半疑で言ったのだが、神楽坂は「そのもしかして。野神さんのお父さんよ」と答えた。
「え、そうだったの?」
「え、知らなかったの? 大森くん。ちなみに英語の先生よ」
どうやら神楽坂以外は知らなかったらしく、各々に「へー」と口にしていた。それから、全員で図書室へと移動すると、空いているテーブルをオカルトミステリー研究部の6人が占拠した。
「……いた! ほら、この先生だよ」
神楽坂が教師が紹介された見開きのページの一箇所を指差した。
それは2年前の春に発行されたものだった。
つまり、大森たち――野神沙耶香が新入生だった頃のものだ。
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