04.鍵

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 梢は胸に抱いた数珠に力を込めた。 「そうだ。黒猫のことなんだけど、避けるにしてもいつも宝生くんの傍にいるの」 「そうみたいだねえ。黒猫に取り憑いているあの子は別に悪い子ではないよ。ただ、あの子は成仏しないんじゃなくて、出来ないみたいだね」 「え? そうなの?」 「それが何なのか、ばあちゃんにもわからない。わからないから用心しろと言ったんだよ。あの子にとって梢はいいカモのようだしね」  と言って祖母は笑った。  カモだと言われた梢の方は当然笑えなかった。 ***  今月の部誌も無事に編集が終わり、いつもなら次の部誌のタイトル決めを行うらしいのだが、部室内に置かれたホワイトボードには“旧校舎事件”のタイトル文字の下に、N・Sa(野神沙耶香)N・Shi(野神慎也)K・T(小嶋尊)K・A(小嶋周)と書かれ、それぞれが矢印で繋がれ、関係性が記されている。所謂相関図のようなものであった。 「ここまででわかっていることを図にまとめてみたの。と言っても、まだこれだけじゃなにもわかってないのと一緒ね」  ボード用のペンのキャップを閉めながら、神楽坂がため息を吐いた。     
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