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梢は胸に抱いた数珠に力を込めた。
「そうだ。黒猫のことなんだけど、避けるにしてもいつも宝生くんの傍にいるの」
「そうみたいだねえ。黒猫に取り憑いているあの子は別に悪い子ではないよ。ただ、あの子は成仏しないんじゃなくて、出来ないみたいだね」
「え? そうなの?」
「それが何なのか、ばあちゃんにもわからない。わからないから用心しろと言ったんだよ。あの子にとって梢はいいカモのようだしね」
と言って祖母は笑った。
カモだと言われた梢の方は当然笑えなかった。
***
今月の部誌も無事に編集が終わり、いつもなら次の部誌のタイトル決めを行うらしいのだが、部室内に置かれたホワイトボードには“旧校舎事件”のタイトル文字の下に、N・Sa、N・Shi、K・T、K・Aと書かれ、それぞれが矢印で繋がれ、関係性が記されている。所謂相関図のようなものであった。
「ここまででわかっていることを図にまとめてみたの。と言っても、まだこれだけじゃなにもわかってないのと一緒ね」
ボード用のペンのキャップを閉めながら、神楽坂がため息を吐いた。
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