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「うん、でもわかりやすいし、これからわかったことをここへ書き込んでいけば解決の糸口が見えてくるかもしれないな。さすが副部長!」
大森に盛大に褒められ、神楽坂は瞳を泳がせ赤面した。照れているのだろう。
「それで、野神先生の現在の住所はわかったのか?」
理恩が大森を見た。
「野神先生と仲良かった友達が今でも年賀状を出してるって話を聞いたことがあったから、そいつに確認したら住所は変わってないって言ってたよ」
「仲が良かった?」
「ああ、うん。すごく面倒見のいい先生でね。そいつだけじゃなくてほとんどの生徒が野神先生のことを好きだったんじゃないかな。俺も好きな先生だったよ」
学校誌に写っていた野神慎也は明るく快活そうであった。男女問わず人気の教師だったことが伺える。
「離職の理由は?」
「一身上の都合、としか配られたプリントには書かれてなかったと思う。離職式にも出席していなかったし、細かいことはわからないな。でも、野神沙耶香の父親なら……理由はただひとつしかないよな……」
愛娘の自殺。
それだけで娘がこれからも通うはずだった学校に務めるのは地獄のようなものだっただろう。
加えて、娘の幽霊が出ると噂され、入学希望者が減ったとなると、学校関係者からの目も冷たかったに違いない。
「会う約束は……」
今度は理恩の質問に神楽坂が手を挙げて答えた。
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