56人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「それなら、私が電話で取り付けたわ。野神先生にはよく質問に行っていたから覚えられてた。沙耶香さんにお線香をあげたいと申し出たら難色は示されたけど、承諾してくれたわ。今度の土曜日で良かったわよね?」
神楽坂はドヤ顔でそう言って、メガネの真ん中に人差し指を当てた。
「質問です。あの、僕たちも?」
自信なさげに手を挙げたのは佐野だった。次いで田中も同じように小さく手を挙げる。
「あ、そうか。私と大森くんは野神先生と面識があるけど、2年生以下は知らないんだもんね。お線香をあげにいくのはおかしいか……。じゃあここは私と大森くんの2人で……」
「いや、全員で行く」
神楽坂の言葉を遮るようにして理恩が口を挟んだ。
「え、でも」
「自分の娘が怨霊になってしまっていることを伝える。部として彼女の死に疑問を持っていることも、野神先生が生霊となって学校で何かを探していることも、全部話す」
部員全員が目を見開き、息を飲んだ。理恩は構わず続ける。
「野神先生が知っていることを全部話してもらう」
「そっか……! 生霊を飛ばすくらいに気になっている何かがこの学校にあるってことだもんね。それが何かを聞き出すのね!」
梢が目を輝かせると、理恩は「もし何かを知ってるなら手っ取り早いからな」と答えてから、部室の窓に視線をやった。
「……あまり時間はなさそうだな」
理恩のそのひと言に、梢も窓の外へ視線を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!