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瓶底メガネのイメージも手伝って、冗談を言うような雰囲気は微塵も感じられない。これなら野神もこれから話す現実離れした話を真剣に聞いてくれるだろう。
「君たちはタチの悪い冗談なんて言わなさそうだ。聞くよ」
野神は理恩を真剣な面持ちで見据えた。
それから理恩は静かに口を開いた。
「俺たちはオカルトミステリー研究部に所属しています。部長は大森先輩、副部長は神楽坂先輩です」
「オカルト……」
野神は眉をひそめた。
「まさかとは思うが、沙耶香の幽霊が本当に出るとでも?」
「最初に言ったはずですよ。これは冗談でも興味本位でもないと」
「……すまない。続けてくれ」
「先日、旧校舎へ行きました」
「……それで?」
「そこに沙耶香さんの残留思念を感じました。恨み、悲しみ……もちろん自殺をした魂というのは無念を残すものですが、彼女は自分の死を受け入れていない」
理恩の言葉に野神の瞳が揺れた。
「予期せぬ人物から殺された――だから、死を受け入れられない。俺にはそう思えました」
「君にはわかるのか」
「俺と梢には霊感があります。といっても俺は霊の姿は見えるけど声は聞こえないんですけど」
そう言って、理恩は自分の隣に座る梢は指差した。なので、梢は軽く会釈をした。
「そうか……。やっぱり沙耶香は自殺なんてしてなかったんだな……。でも一体誰が……」
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