03.生霊

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03.生霊

 翌日、金曜日。  一度学校から帰宅をしたオカルトミステリー研究部の面々が再び部室に集合したのは、午後10時だった。 「じゃあ校内一周したらまたここへ戻ってきて。先生はここから動かないからね! 早く戻ってきて!」  顧問の柏木は顔を強ばらせながら部員にそう告げた。  噂に違わず、なんとも頼りない感じの教師である。ちなみに男性だ。  「行ってきます」と声をかけ、柏木をひとり部室へ残すと、全員で真っ暗な校内を各自懐中電灯を持って歩き出した。 「うわあ、テンション上がるなあ!」  普段、口を開かない田中の明るい声が、誰もいない廊下に響き渡った。  他の部員も例外なく、普段よりも饒舌になっている。 「宝生くん、小比類巻さん、どう?」  そう声をかけてきたのはやはり田中だった。理恩と梢よりも先を歩いている4人が笑顔で振り向いた。一斉に懐中電灯の光が当てられたので梢は手のひらで目を覆った。 「心配しなくてもちゃんといますよ。でも悪さはしなさそうな霊ですね」 「いるんだあ! 神楽坂先輩、カメラカメラ!」  まるで観光スポットにでも来たかのようなノリだ。     
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