愚者の幸福論

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「……別にいいけど。もうこの授業戻る気ないし、続けて」 私が溜息しながらそう言うと、陰っていた表情を少しだけ明るくして佐藤はありがとうと言ってから続きを話し始める。 「その、ゴールデンウィーク中に、彼女達に会ったの。で、私気が付いたら泣きながらお金渡してた。前田くんと一緒。で、休み明けの初日、お昼休憩くらいかな、廊下で彼女達に囲まれて…それで…トイレでね、お、おなかなぐられてさっ! 阿部くんと一緒……きっと、次は私の番なんだ……」  最後の方は嗚咽が混じっていて良く聞こえなかったが、そういうことか。 私の知らないところで、佐藤はそんな目にあっていたのだ。 私は、黙ったまま、彼女の声を聞いていた。     
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