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「……ねぇ、月島さん。月島さん、さっき言っていたよね? 関わっちゃったら学校来ないのが一番って。私、嫌だよ。そんなの。確かに最初は、自分の都合で貴女に話し掛けた。けど、一緒に過ごした数週間、凄く楽しかった。貴女がどう思っているか分からないけど、私、貴女みたいな友達初めてで。何をする時も皆の意見を聞いて、出来るだけ服装とかも合わせて、話題に乗り遅れてつまんないやつって思われないように一生懸命雑誌とか買ってネットとか見て、つまんないドラマだってちゃんと見てた。そんな私と違って、月島さんには私はこうだから別にいい、みたいなのがあってさ。本当にかっこいいなって。貴女がそう思っていなくても、私、貴女とこれからもずっと一緒にいたいよ……学校でもっとお話していたいよ! 今度は私の話ばっかりじゃなくて、もっと月島さんのこと知りたいなぁ……! ……ねぇ、月島さん。私、どうしたらいいんだろう……どうすれば、私
、貴女とこれからも一緒にいられるかなぁ……?」
膝から泣き崩れた佐藤を私はなおも冷酷な目で見ていた。
コンクリートにシミが出来ている。
愚かだ。愚かすぎてつい、笑ってしまいそうになる。
感情移入する余地もない。
結局、こいつも、その他大勢と同じ。
むしろその典型だった。
周囲に合わせ続けたせいで、いざ見離され一人になった時、何もないのだ。
例えばこれを社会に置き換えよう。
君、明日から来なくていいよ。
と突然宣告を受けたサラリーマンが、その場に泣き崩れて嫌だと泣いてみろ。
それこそお笑い草だ。
静かに幕を引き、その後はバイトをするか、それとも首を括るのだろうか、それはわからないが、ともかく大人達は理解しているのだ。
他者から与えられた結果は、与えられたその瞬間から覆らないと。
我が儘を言うな。
そう声を掛けようかとも思った。
だが、不意に。
本当に唯の気まぐれなのだが、佐藤を試してみたくなった。
長い間、嗚咽だけが静かに聞こえる屋上に、言葉を落とす。
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