色気づく祈りで呪って

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軒下で暮らすバナナ色の野良猫。 名前はワイン。口癖は不安。夢は切実。 右目はビー玉で片耳はなく、牙は音に噛み付いたという。 ワインはしっぽでベッドを汚し、温もりよりもローマ字を愛した。 そのくせ、残り物には福はなく、十字架を捨て、かわりにノコギリを背負ってはいずり回った。 やがてワインは軒下を逃れ、呪いをくまなく探し、窓を開けて、日陰で愛を語るのであった。
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