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いつもの所で彼女を幾ら待てど彼女は現れなかった。一時間、二時間。刻々と時間だけが経過してゆく。 空の日が傾きかけた頃。二つの影が僕の目の前に現れた。  「娘がお世話になっていました」 と、その人たちは丁寧に頭を下げた。 此の人たちは何をっているのか。僕にはさっぱり見当がつかなかった。話を聞くと、突然現れた人たちは彼女の両親で、彼女は此処に向かう途中に交通事故に遭い亡くなった。ということを聞かされた。  突如として彼女はその綺麗な存在を桜の花びらのように命を儚く散らしたのだ。 暫く僕はその死を受け入れられずに泣き叫び、泣きわめき何時振りかに涙を流し彼女のこと以外何も考えることができなかった。 数週間。いや、一か月程は経っていたかもしれない。僕は少しづつだが気持ちの整理を行うことができた。そして、心の奥に彼女が残していった「春が好き」という気持ちを大切に大切に彼女の存在とともに仕舞った。
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