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黙った我を見て、またもや深い溜息を零すルーナ
「もういいです・・・そうですよ、そもそも私が買い与えるのがダメなんです」
そう言って、ルーナは大きく顔をあげて我に向かって叫んだ
「____ご自分で拾ってきて下さい!!」
「は?」
「そうすれば少しは愛着が湧くでしょう?魔物でも動物でも、植物でもいいですから自分で世話するペットを拾ってきてください!」
「別に我はペットが欲しいわけじゃ」
「このあと視察ですよね?いつもは馬で行きますが・・・森に行けば何かいますでしょう、歩いていってください」
「視察にそんな時間は」
「机の書類は代わりに片付けますから!行ってください!!今すぐに!!」
「でも」
「は・や・く!!!」
「・・・・・・・・・・・・・わかった」
ルーナの充血した目が見えるほどに押されて我は行くことになった。
森...というのは我の城付近に存在する魔物が住む森のことである、人間からは"魔物の森"と言われており迷い込めば確実に食われると言われていて、そこに故意で踏み込む人間はいない
...はずだ。
「・・・」
「すぅ・・・すぅ・・・」
暗い森に透過するかのような真っ黒な髪、それに相反するような少しだけ汚れた白のワンピース、そこから覗くのは同じく生きているのかわからないほどに白い手足。
人間だ。
人間が倒れている。
「邪魔だな」
そう言って、魔物の餌となるよう殺そうと手をあげた...が、そこでルーナの言葉を思い出した。
『___拾ってきてください!』
拾う・・・拾うか。
そう考えて我は小さな人間を肩に担ぎ、持ち帰った。
ふと担ぎあげた人間は我の知っている人間より随分と軽く感じた。まぁそういう人種もいるであろう。
魔物でも動物でも、植物でもいいならこれでもいいだろう。
その後、ルーナが新しい胃痛薬を持ち歩くようになる事を我は知らない。
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