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「……半日だけでもいい」
「え?」
「私の半年分の記憶を。お願い、半日だけでいいから、戻して」
「どうしてだか、あなたからは“欲”を感じないわ。なぜ、そこまでして時間を戻したいの?」
「彼を……、彼を助けたいから!」
「時間を戻すのは簡単よ。でもね、前にも言ったように、人の運命なんてそう簡単には変えられないの。残された記憶を大切にしたほうがいいわ、お帰りなさい」
「お願い! 彼が助かれば、私はどうなってもいいから……!」
「どうなっても……?」
彼女の切実な願いを、店主はためらいながらも聞き入れる。
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