0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
むかしむかし、小さな二人の子どもがおりました。
一人目は、小さな村の、長の子として生まれました。
しかし、ほどなく、騙し打ちで一族もろとも滅ぼされ、幼くして死んだ彼のその死骸は、深い谷底に打ち捨てられました。
一人生き残った父親は、怨念から外法を得、愛しい息子を赤い目と金の髪をもつ、鬼として蘇らせました。
彼は、自らを蘇らせたその父親を喰らい、自分を殺した敵を喰らい、そして『人食い鬼』を退治しようと、『殺意』を向けてやってきた人間たちを喰らいました。
ある時、彼の前に『慈悲』の感情をもって、立ちはだかる人間が現れました。
彼は、どうしてか、その人間を、喰らうことが、できませんでした。
その人間は彼の『師』となり、人間の為に働くよう、彼にさまざまな事を教え、導きました。
いつしかその子は、『善童鬼』と呼ばれました。
最初のコメントを投稿しよう!