贖罪

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 あの日……私は、山を降りていました。  あの場には、居なかったのです。  帰ってきたとき、全ては終わっておりました。 「酒呑童子を討伐した!」と、意気揚々と人間たちが掲げた首は、まぎれもなく、善童鬼(かれ)のものでした。  私は、初めて『絶望』しました。  そして、『後悔』の感情を知りました。  仇を討とうとも考えましたが、彼が生きて、やってきたこと(・・・・・・・)を考えると、そんな事はできませんでした。  ……そして、私は、彼の『代わり』となることに、決めました。  善童鬼()の名を(けが)さぬよう、生きて、参りました。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加