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「おいお前ら!今日は音楽室で倒れてる奴が見つかったらしいぞ!」
クラスの奴が、教室に入ってくるなり息を切らしながらそう言った。
「マジ?こえー」
「昨日は1Cの高橋がやられたらしい」
「次はお前かもなー(笑)」
「ちょっ怖いこと言うなよ!」
怖がる人、面白がる人、反応はまちまちだ。オレはその話に耳を傾ける。
「やっぱあのハナシって本当なのかな」
『あのハナシ』____そう、オレの通う桔梗高校には最近ある妙な噂が流れている。
《空腹の幽霊》。とんでもないクソダサネーミングだが、そこはスルーしていただきたい。
《空腹の幽霊》と呼ばれるそれは、オレ達が学年が上がり2年生になった4月から急に噂されるようになった。
放課後一人で歩いていると、何処からともなく空腹を訴える声が聞こえてくるらしい。
その声はだんだんと近くなり、気が付くと意識を失っているという。…怖い。
その噂が出始めた当初は全く信じていなかったが、毎日気絶した人間が発見されているとなれば話は別だ。
次は自分の番ではないかと皆が毎日怯えて過ごしている。
「でもよお、これまで1年しか被害に遭ってないんだよな」
「ってことは俺達は大丈夫なんじゃね…?」
色々な憶測が飛び交う。
その憶測のほとんどは自分自身を安心させようとする暗示だ。
かく言うオレもその言葉達を聞いては、自分は大丈夫だと唱えている。
「いや、そろそろ2年に回って来る頃なんじゃないか?」
そんな中、誰かがオレ達の暗示を全力で剥がしにかかる発言をした。
そのせいで教室はさっきよりも騒がしくなっていく。もう大混乱だ。
………ああもう!早く誰か陰陽師でも呼んでお祓いしてくれ!!
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