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「……おなかすいた」
艶やかな黒髪、透き通るように白い肌、赤みがかった無機質な瞳。
見る者全てを惹き付ける美貌を持つその少年は、夕焼けに染まる校舎をただ一人彷徨っていた。
……あ、あの人でいっか
前方に人、その他に生徒がいないことを確認した少年はゆっくり、ゆっくりとその人間に近付いていった。
……もう少し、もう少しで
生徒が気配を消した少年に気が付けるはずもなく、
トンッ、
軽快な音が廊下に響いた瞬間、生徒はその場に倒れた。
「毎回手刀で気絶させるの、メンドイなぁ……」
何かをブツブツと呟いて、安堵の表情を浮かべた少年はそのまま生徒を引き摺って第2理科室へと入っていった。
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