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「なんでもないわ。話す必要も無さそうだし」
「? そうですか」
そう返事して会話は終了。
と思ったが、聞き忘れていた事を思い出し、箸を持ち直した母親に今度は俺が前のめりになる。
「ついでに『ヒロイン』についても教えて貰えますか?」
いつ出会えるのかさえ知らないが、重要人物。
少しでもハッピーエンドに繋げられる情報があるなら是非とも聞き出しておきたい。
「あ、ああー…でもネタバレして大幅にストーリーが変わっても面白くないわね」
「ネタバレ…そっか」
俺は苦笑して落胆する。そんな俺とは逆に、無邪気な笑顔の母親は、眉を上げる。
「そうね、高校生になったら会えるって事だけは教えとくわ。でも雪愛ちゃんと結ばれたいのなら関係ないわよね」
とは言いつつ、母親は小さなため息をついて背もたれに体重を預ける。
「ま、でも相手は乙女ゲームの主人公。 雪愛ちゃんと良くなっても、貴方が惚れる可能性はゼロでは無いわ」
そう言って、母親は決心したように急に大袈裟な音を出して椅子から立ち上がり、俺の方を見た。
「よし、私も手伝うわ!」
「…ほぁ」
すんなりと話が通って、かなり進んだ事に、俺がぽかんとしてしまった。
しかも雪愛ちゃんとの良縁を手伝うとまで言われた。
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