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「……ねえ、ソウゲツ」
一人、心の中で今夜の計画を練っていると、暫くそっぽを向いて大人しく花火を手にしていた王子が一度、空を見上げてから静かに振り向く。
「……来年も一緒に花火しようね」
「ああ、勿論!来年も再来年もずっと……」
「ねえ、蒼月。……『月がキレイ』だね」
光とともにこちらに笑みを浮かべるリオはやはり美しく、また見惚れそうになる寸でのところで彼の口から発っせられた言葉に深い意味があるのかないのか考えずに気が付けば彼の腕を引き、抱きしめそっと口付けた。
重なる二つの影を月が見守る中、王子の手の中で消えかけた花火が流れ星のように地面に降り注いだ。
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