楽しい時間

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僕はびっくりして、靴を落としてその場に立ち上がる。 「なっ、なんで知ってるのっ?」 「毎日、あんたは楽しそうに遊びに行くけど、廉はあんたと一緒には遊んでない言うし、あんたの友達の親に会った時に聞いたら、遊びに来てへん言わはるし、おかしい思ってな。悪いけど後をつけさせてもらってん」 「い、いつ?じゃあ、銀ちゃんを見たの…?」 僕はドキドキしながら、手をぎゅうと握りしめた。 「ふふ、そんな怖がらんでもええ。年末にな、あんたがいつもどこに行ってるか気になって、後を付いて行ったんや。ほな、神社に入って社の裏側に行きよるし、こんな所で何して遊ぶんや、思ってたら、まあ綺麗な男の子が現れた。どこの子や、思って見てたら、銀色の大きな翼であんたを抱えて飛んで行ってしもた」 おばあちゃんが僕の傍に来て座り、僕の手を引いて自分の膝の上に座らせる。 「最初は慌てたけどな、でもあんたは嬉しそうに『銀ちゃん』言うて懐いてるし、男の子も優しい目であんたを見てたしな…。まあ大丈夫やろ、思って、一旦家に帰って来てん」 不安げにおばあちゃんを見る僕の頭を、そっと撫でてくれた。 「凛が帰って来るちょっと前に、また神社に行ってな、社に隠れて見ててん。ほな、あの綺麗な子があんたを抱えて飛んで戻って来て、大事に降ろしてくれとった。ふふふ、あんたがお礼を言って、男の子のほっぺにちゅうした時のあの子の困った顔は、面白かったわ…。凛はあの子が好きなんやな…」 「うん…。凛、銀ちゃんのこと、大好き。でも、銀ちゃんと会ってるのは、誰にも秘密だったんだ…。おばあちゃんに知られちゃったから、もう…会えなくなっちゃう…っ」 涙をぽろぽろと零してしゃくり上げる僕に、おばあちゃんは服のポケットからハンカチを出して、僕の顔を拭いてくれた。
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