優しい時間

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優しい時間

「泣かんでもええよ。大丈夫や。おばあちゃんは誰にも言わへん。凛が帰った後にな、男の子がうちに気付いて話しかけて来たんや。礼儀正しいしっかりした子やった。『いつも凛を勝手に連れ回して申し訳ない。凛に黙ってるように言ったのは自分だから、凛を怒らないでやって欲しい。それと、図々しい申し出だが、自分の正体は誰にも言わないでもらえるとありがたい。その上で、凛と会う事を許してもらえないだろうか…』そう言うて、深々と頭を下げたんや…。天狗言うたら、気位の高い、偉そうなものや思ってたけど、あの子は品のある優しいええ子やな…。そやから、今までと変わらずに、遊びに行ったらええよ。あの子は強そうやし、安心やろ」 そう言って笑うと、僕を抱きしめてくれた。おばあちゃんの暖かさに、僕はほっとしてやっと涙が止まる。 「…銀ちゃんと遊んでもいいの?銀ちゃんはね、凛にいろんな物を見せてくれるし、すごく、優しいんだよ…。おばあちゃんも大好きだけど、銀ちゃんも大好きなの…」 「うん、うん。わかってる。おばあちゃんも凛が大好きやで。大好きな凛が悲しむ顔は見たないからな」 「おばあちゃん…ありがと。…ねぇ、さっき言ってた天狗ってなに?」
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