優しい時間

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おばあちゃんが目を丸くして、僕を見つめた。 「あんた、あんな派手な翼を見とって、あの子が何者か何も思わんかったんか?まあ、凛は純粋やからな…。ただ、綺麗としか思わんかったんやろな…。天狗はな、この辺りの山を護ってる、まあ神様みたいなもんや。ここだけやなく、日本のいろいろな所におる。銀ちゃんとやらは、この辺に住む天狗の一族の子やろなぁ。廉と変わらんぐらいの年やろうに、しっかりしとったわ…」 おばあちゃんが銀ちゃんを褒めてくれるのが嬉しくて、僕は自然と笑顔になる。 それに、おばあちゃんの話だと、銀ちゃんは神様だったんだ!そんなすごい人と友達だなんて、僕は飛び上がりたいくらいに、嬉しかった。 「ほな凛、早よ遊びに行っておいで。銀ちゃんが待ってるんやろ?」 おばあちゃんが僕を立たせて、もう一度、綺麗に顔を拭いてくれた。 僕は靴を履くと、おばあちゃんに「じゃあ、行ってきまーす!」と元気よく挨拶をして、足取り軽く駆けて行った。
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