出会い

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出会い

鬱蒼と木々が生い茂る暗く細い道を、僕はとぼとぼと歩いていた。 兄ちゃんとその友達の後に付いて遊んでいたはずなんだけど、いつの間にかはぐれてしまい、しかも今、自分がどこを歩いてるかもわからない。 僕は、ぐずぐずと鼻を鳴らし、溢れてくる涙を服の袖で拭う。だんだんと足が疲れてきて、道の脇にある大きな岩の傍に座り込んだ。 「ふぅっ、兄ちゃん…どこ?こわいよ…っ、ふぇっ」 僕が膝を抱えてぐすぐす泣いていると、突然、頭の上から声が聞こえてきた。 「おまえ、どうしたんだ?迷子か?」 僕は、肩をびくりと跳ねさせて、恐る恐る顔を上げる。そこには兄ちゃんと同じ年くらいの、綺麗な顔をした少年が、身体を屈めて僕の方を覗き込んでいた。 「だ、だれ…?」 びくびくと怯えながら、彼から少し身体を遠ざけて尋ねる。 「ん?俺?俺はしろがねと言う。おまえは?」 「し…しろ、が?」 「ふふ、こう書くんだ」 彼が、僕の隣の地面に小枝で字を書きだした。 「これは銀(ぎん)という字だ。しろがねとも読める」 「しろ…が…、し………ぎん、ちゃん…」 「……まあ、いいか…。おまえの名前は?」 「りん…えとね、こう書くの」 僕も地面によれよれの字で、名前を書いた。 「ふ~ん、凛…ね。で、凛はなんで泣いてるんだ?」 「兄ちゃんがどこかに行っちゃった…。ここ、どこ?」 銀(しろがね)と言った少年が、頭をがしがしと掻いて唸り出した。
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