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初めましての事件
外坂は暫く考えた。
マオがそんな外坂の様子を見てか、大きなため息を吐く。
「ほらね。身分を明かしても信じないから非効率なんだよ」
「いえ、わかりました」
「え?」
今度はマオが驚いていた。
「やはり名刺という道具は効率的です。召喚に関してはわかりませんが、緊急保安対策部という言葉からどうやら私の職場の「相沢製紙」では私が考えるより深刻な問題が起きていて、貴方はその対策のために呼ばれたプロフェッショナルのようですね。先程までの非礼をお詫びいたします」
「え? え? 名刺1枚で信じちゃうの? 僕が貴方を馬鹿にしてるとか騙しているとかは思わないの?」
「確かにその可能性を完全に否定することはできませんが、防衛省という肩書きまで使用しているにもかかわらず、召喚というおおよそ人が信じない言葉を取り付けては人を騙すことにおいて逆効果です。そして、貴方が私を馬鹿にしているのなら後できつく叱れば済む話だ」
外坂はまず最初は外見で人を判断するが、かといってその人間の全てを外見から判断するほど愚かではない。外坂が話した内容は、この場の状況とマオの名刺を見て、マオが何のためにこの場にいる人間なのか外坂が考えた結論だった。
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